2人の休みの日、約束どおり水族館へ。


 新しい靴ではしゃぐチカ。


 いつもなら彼女と同じくらいはしゃぐ俺なのに。

 なんだか気分が乗らない。



“アキ君。
 どうかした?” 

 心配そうな瞳で、チカが下から俺をのぞき込んでいる。


「ん?
 なんでもないけど」

 俺は彼女に微笑みかける。


“それならいいんだけどね”


 俺はチカの唇を見つめる。


 これまでも、これからも。

 声をつむがない彼女。


 そんなの分かってる。



 分かってる。

 けど・・・。



 自分でも気が付かないうちに、心の温度が少し下がった。