“それにしても、よく私からの電話だって分かったね?
 おまけにいる場所まで”
 

「チカのことで俺が分からないはずないよ」

 ちょっと得意気にアキ君は言う。


“なんで?
 お母さんでも分かってくれなかったんだよ?”

「なんでって言われても・・・。
 チカのことを誰よりも分かろうとして、一生懸命だからかなぁ」


“そうなの?
 ・・・でも、それってアキ君の負担になってない?”


 私は彼に負い目がある。
 
 障害者だから・・・。


 たかが野良犬1匹追い払うことが出来ない。

 まともに電話をかけることも出来ない。


 誰もが当たり前に出来ることを、私には出来ない。


 私といて、彼は疲れたりしないんだろうか。

 『イヤだ』と思うことはないんだろうか。



 私の口からため息がこぼれる。