―――どうしよう、どうしよう!?


 泣きたくなって、おしょう油をぎゅっと抱きしめた。

 すると、野良犬がこっちに向かって走り出す。


―――い、いやぁ!!

 私はくるりと向きを変えて、来た道を駆け出した。





―――やだっ、来ないで!


 必死で逃げるほど、野良犬も走ってくる。

 私は転ばないようにするのが精一杯で、どこをどう走ったのか分からない。


 気がつけば公園に来ていた。

 学校帰り、アキ君とよく立ち寄る公園。


―――確か、電話ボックスがあったよね?!
   あそこに逃げ込めば大丈夫かもっ。


 薄暗い公園を走って、目指す電話ボックスにたどり着く。

 中に入って、急いで扉を閉めた。


 下に隙間はあるけど、さすがにそこからは入れない。


 野良犬は悔しそうにボックスの周りをぐるぐる歩いている。