★ ★ ★ 薄暗い空間から二本の腕が突然現れた。同一人物のものと思われる左右の腕。 「どぉ~ちだ」 突き出された両手はジャンケンでいうグーの形に握られている。 「なんのつもりだ?」 おれがぶっきらぼうに訊き返すと拳が左頬に飛んできた。口の中に錆臭さが広がり、床にペッと血を吐き出す。 「口の聞き方に気をつけてよ。せっかくプレゼントをあげようと思ってるのに……さぁ~どっちか早く選んで」 おれを殴った相手は再び両手を出し、たまらなく楽しそうに声を弾ませる。