しかし兵器は少女である

「あ!」

あれほど絶妙だった距離感が、乱される。

猫は槍を突き出すように走りだし、私が掴んだのは芝だけだった。

「待て!!」

むざむざ逃がしてなるものか。私は追走に入った。

猫の足は速い。が、直線勝負なら私も負けない。

猫が生け垣を跳び越えて姿を消す。

生け垣の高さは私と同じくらい。が、それくらい私も跳べる。

すぐに同じ生け垣を――

「ひゃっ!?」

「おおお!?」

跳んで、驚いた。

いきなりの水攻め。

私は顔面から水をひっ被った。

な、なわ、なんなんだ。

「だ、だいじょぶかいお嬢さま!? うああ、なんてこった!」

ホースで水まきをしていた庭師が慌てて手拭いを取り出し、私の顔に押し当てた。

粗っぽい力加減に、首がグラグラする。

「む、むぐ、ぅぐ、ん……!」

「ちょいとおとなしくしとってくれ。――んし、綺麗ンなったろ」

やがて解放されたが……なったろと言われても、まだ服が微妙な湿り気を帯びている。髪も同様。