「まあ、まあ、お嬢さまったら……こんなに頭に葉っぱをつけて」
色は私と同じ白と黒、しかし装飾の少ない服に身を包む給仕は、地面にへたり込んだ私と視線を合わせた。
髪からツイツイと、茂みに突っ込んだ時についたらしい葉っぱが取り除かれる。
「どうなさったのですか、突然?」
回収したシーツを器用に折りたたみながら訊ねられた。
答えず、ちらりと、私が走っていた『正面』方向を見た。
が、もはやそこに、白猫はいない。
「……逃げられた……」
「に、逃げられた? ――なにか、追いかけていらしたのですね?」
給仕の声が、にわかに堅くなった。
おそらく、お祖父様を狙う不貞の輩が侵入したと思っているのだろうが、違う。
私は首を横へ。
「猫が、逃げていった」
「え……猫が……?」
「猫が」
うなずく。
その時なぜか、給仕の表情は間の抜けたように硬直し――
「ぷ」
吹き出した。笑われる。
「猫! そうですか、猫ちゃんが、あらあらそれは、うふふ、ようございました」
色は私と同じ白と黒、しかし装飾の少ない服に身を包む給仕は、地面にへたり込んだ私と視線を合わせた。
髪からツイツイと、茂みに突っ込んだ時についたらしい葉っぱが取り除かれる。
「どうなさったのですか、突然?」
回収したシーツを器用に折りたたみながら訊ねられた。
答えず、ちらりと、私が走っていた『正面』方向を見た。
が、もはやそこに、白猫はいない。
「……逃げられた……」
「に、逃げられた? ――なにか、追いかけていらしたのですね?」
給仕の声が、にわかに堅くなった。
おそらく、お祖父様を狙う不貞の輩が侵入したと思っているのだろうが、違う。
私は首を横へ。
「猫が、逃げていった」
「え……猫が……?」
「猫が」
うなずく。
その時なぜか、給仕の表情は間の抜けたように硬直し――
「ぷ」
吹き出した。笑われる。
「猫! そうですか、猫ちゃんが、あらあらそれは、うふふ、ようございました」

