空を見やった給仕が、強く言う。
「まもなく日も沈む時間にございます。ご主人様も、きっと紅茶をご用意してお待ちですよ?」
「……お祖父様が……」
脳裏に、彼が部屋でひとり、私を待っているのが浮かんだ。
給仕に猫を見せてやりたかったけれど、それを思い浮かべた途端、お祖父様のもとへ行かなければいけない気がした。
「伝言……」
「はい?」
「伝言、頼みたい」
と私は言った。
「シーツ、干していた給仕に、伝言」
「……」
「猫、捕まえられなかった。……ごめんなさい」
給仕は幾ばくか私を見つめ、
「――はい。かしこまりました」
私のひたいを最後に一度、撫でた。
そして、解散する。
お祖父様の部屋へ向かった私は、微妙な感情が心中でくすぶっているのを覚えた。
やるせなさ……という感情が、知識の中でもっともしっくり来る。
喉越しの悪いなにかが、未だ胸につかえているような感覚だった。
精神的に、心地悪い。
「まもなく日も沈む時間にございます。ご主人様も、きっと紅茶をご用意してお待ちですよ?」
「……お祖父様が……」
脳裏に、彼が部屋でひとり、私を待っているのが浮かんだ。
給仕に猫を見せてやりたかったけれど、それを思い浮かべた途端、お祖父様のもとへ行かなければいけない気がした。
「伝言……」
「はい?」
「伝言、頼みたい」
と私は言った。
「シーツ、干していた給仕に、伝言」
「……」
「猫、捕まえられなかった。……ごめんなさい」
給仕は幾ばくか私を見つめ、
「――はい。かしこまりました」
私のひたいを最後に一度、撫でた。
そして、解散する。
お祖父様の部屋へ向かった私は、微妙な感情が心中でくすぶっているのを覚えた。
やるせなさ……という感情が、知識の中でもっともしっくり来る。
喉越しの悪いなにかが、未だ胸につかえているような感覚だった。
精神的に、心地悪い。

