あの頃の想いをもう一度

【隼人】

懐かしい夢を見た。

あの時の懐かしい思い出。

母さんと二人で部屋にいて、小さい僕は絵本を読んでもらっていた。

『母さん!白雪姫は死んじゃったの?』

どうやら、今日の絵本は『白雪姫』のようだ。

『いいえ、死んではいません。心を凍らされたのです』

『心を?』

『そうです。でも、彼女を愛する王子様が、眠りにつく白雪姫に口づけをして、白雪姫は目を覚ますのです』

『そっか、良かった死ななくて』

『隼人は、優しいですね』

母さんは、微笑みかけ優しく髪を撫でる。

「母さん……」

『さぁ、今日はもう寝なさい』

『うん!また明日、絵本読んでね』

『もちろんです』

でも、その約束が果たされることは無かった。

その日の夜、母さんは自殺したからだ。

母さんは、親父の愛人だった。

その間に生まれたのが僕だ。

他にも親父には沢山の愛人がいた。

その中で僕は、桜葉家を継ぐほどの才能に恵まれていた。

僕も家を継げば、母さんを守れると思っていた。

だけど、そんな僕のせいで、母さんは周りの奴らからよく思われていなかった。

僕の知らない所で、酷い虐めを受けていて、体はアザだらけ。

幼い僕は、そんなこと知るよしも無かった。