あの頃の想いをもう一度

【皐月】

「こ、ここで良いんだよね?」

私は、今寮の最上階に来ているんだけど…。

「な、何このキラキラな空間!」

他の寮の階と違って、周りはゴージャスだし、床には私の姿が写っている。

「これが、特進科の特権なのかな?」

最上階には、一つの部屋しかなく、扉の横には、『桜葉』と書かれていた。

私は、恐る恐るインターホンを鳴らす。

「……」

少し待ってみたけど、中から隼人が出てくる気配はない。

「あれ?」

念のためもう一回インターホンを鳴らす。

でも、隼人は出てこない。

「居ないのかな?」

ドアノブに手をかけ回してみる。

「開いてる?」

扉には鍵は掛かっておらず、普通に扉は開いた。

「隼人?」

中を覗き込むと、部屋に明かりは付いていなかった。

でも、靴はある。

「寝てるのかな?」

勝手に入るのはいけないとは思ってるけど、私は部屋の中へと入る。

「隼人?」

もう一度隼人の名前を呼び、リビングへと入る。

部屋は私達の部屋よりシンプルで、机とソファしか置かれていない。

(前の私の部屋みたい…)

部屋の中を見回した時、ベランダに誰かがいるのが見えた。

「隼人かな?」

てゆか、最上階のベランダにプールがあるとか可笑しいでしょ。

窓を開けて、私は隼人らしき人に近寄る。

「やっぱり、隼人だ」

隼人は、寝息をたてて寝ていた。

月明かりが隼人を照らしていて、寝顔が美しく見えた。

それに、とても安心しているように見えた。

私は、帽子を取って、隼人の寝顔を覗き込む。

「可愛い…」

隼人が起きるまで、傍に居ていいかな?

そう思った時、隼人の目がゆっくりと開かれた。