あの頃の想いをもう一度

【遼河】

「たく…、嘘が下手くそな奴だ」

俺は、皐月の部屋に入り込み、ベッドにかけてある布団を取る。

「お前が嘘を付いている時は、大抵視線逸らすんだよ」

きっと、隼人の所に行ったんだろう。

俺には、内緒にして。

別に内緒にしていくのはいいけど、ちゃんと俺にも話して欲しかった。

皐月が隼人の部屋に行くという事は、隼人が皐月と話すことを決めたからだ。

「隼人が皐月と話すと決めたなら、心配する事はないと思うけど…」

俺は、拳に力を入れる。

(もし、皐月が隼人のことを好きになったら、俺はどうする?)

俺は、その考えにハッとして、頭を横に振る。

「何を考えているんだ」

皐月が誰を好きになろうが、俺には関係ない。

もう、許嫁じゃないんだし。

それに、皐月が俺のことを好きで、気持ちを伝えてきたら、俺はその気持ちには答えない。

皐月は、俺じゃなくて隼人といるべきだ。

俺よりも、隼人の方が皐月を必要としていると思う。

俺は、布団を戻して部屋へと戻った。