「信じても……、いいんだな?」

私は、遼河の腕の中で頷く。

「…分かった」

遼河の抱きしめる腕に力がこもる。

「じゃぁ、これから特訓な」

「えええ!今ここで?!」

「あぁ、次の特訓は、男に抱きしめられることに慣れろ」

「わ、分かった」

でも、抱きしめられてるだけだよね?

これで、良いのかな?

私は、遼河に一つだけ聞きたくても、聞けないことがあった。

それは、遼河が私の許嫁ってこと。

本当に私の許嫁だったのか…。

なら、遼河は私のことが好きだったのかな?

聞きたい、遼河の気持ち。

だけど、聞けなかった。

もし聞けたとしても、遼河は言わないと思う。