十年前―――。

私は、広い屋敷の庭を駆けていた。

そして、二人の男の子に突っ込む。

「見つけた!遼河に隼人!」

「うわぁっ!」

「びっくりした」

私にとって二人は、大好きな存在だった。

その中でも、遼河は特別だった。

「ねぇ、遊ぼ!」

「どうせおままごとだろ、飽きた」

「だって、楽しいじゃん!」

「まぁまぁ。じゃぁ、やろうよおままごと」

私がわがまま言っても、隼人は付き合ってくれた。

遼河は、嫌々ながらも一緒にやってくれた。

私たち三人が遊んでいる時、私は月子に呼ばれた。

「お嬢様、旦那様がお帰りになりました」

「パパ帰ってきたの?!」

私は、二人を置いてお父さんの所へと向かう。

「おい!皐月!」

「仕方ないよ、皐月はお父さん大好きだし」

「そうだけど」

「あれ?まさか嫉妬とか」

「な、なわけないだろ!」

隼人の言う通り、小さい頃はお父さんが大好きだった。

「パパお帰り!」

「ただいま皐月」

でも、パパが帰ってくると、必ず従兄弟のおじさんもいた。

「こんにちは皐月ちゃん、今日も可愛いね」

私は、この人が嫌いだった。

私を変な目で見てくるから。