あの頃の想いをもう一度

「ま、虐めるのは後でいいか…」

男は、私との距離を縮める。

「なっ!」

腕を掴まれそうになり、私は腕を引っ込める。

「掴まれないように徹底してるのか…。へー、面白い」

「お前誰だよ!」

何で私なんかに構うんだ?

それに、何か嫌な感じがする。

「じゃぁ、名乗ってあげる。僕は、桜葉隼人」

「隼人…?」

その名前を聞いて、私は夢に出てきた名前だと思い出す。

「夢で出てきた、名前……」

ついそんなことを口走ってしまった。

「夢に出てきてる?なら、思い出すのも時間の問題か」

「あのさぁ、さっきから思い出すとかなに?変なことばっかり言ってないでよ」

やっぱりこの人も、遼河と同じく普通に話せる。

それに、遼河と同じく私の幼馴染で。

でも、私のことには気づいていないみたいだし。

「別に、皐月には関係のないことだから」

「なっ!」

き、気づいてる!

「隠さなくても大丈夫だよ。ちゃんと遼河のお父さんから事情も聞いてるから」

「そ、そうなの?」

なんだ、良かった。

ちょっとホッとした。

(あっ、でも……)

遼河には、隼人には近づくなって言われてたんだ。

バレたら怒られる。