あの頃の想いをもう一度

「み、道を…間違え……て、職………員室に…、行…きた…いん……だけ…ど、地図が……分か…かん……なななくく……てて」

後半もう何を言ってるのか自分でも分からなかった。

(やばい、パニック状態になっちゃう)

く、クールな自分を演じるんだ!

頑張れ自分!

私に声をかけてくれた男は、コンクリートに落ちていた紙を拾う。

「これ、地図じゃなくない?」

「そう!そうなんだよ!これ見て職員室行けとか無理だから!」

と、勢いよく言ってしまった。

「あっ……」

やばい…。

つい遼河みたいに話してしまった。

初対面の人なのに、絶対可笑しいと思われた!

「ふーん、んでこれ誰が書いたの?」

「遼河だよ」

「遼河?」

遼河って名前に心当たりがあるのか、彼は考え始める。

「そういえば、君見ない顔だけど、転校生かなにか?」

「て、転校生です」

そうだ、私が女だってバレたら!

男にいいように使われる。

(それだけは絶対やだ!)

私は、少し男から距離をとる。

「何で離れるの?」

「いや…その…、実は男が苦手で」

男でも男が苦手って言う人いるよね!

「へー、なるほど。これで一致した」

「へ?」

なんのこと?

よく見ると、この人意外とかっこいい……。

黒髪のショートに、整った顔つき。

(りょ、遼河と同じくらいかっこいい人かも……)

と思ったけど我に返る。

(いやいやいや、あいつがかっこいいとかないから!)

男は、ちょっと意地悪そうに笑うと言った。

「あれ?僕のこと覚えていないの?」

「え?覚えていない」

なんか、最近そんなやり取りを誰かとやったような…。