あの頃の想いをもう一度

自分で言うのもあれだが、七歳だった私はそれはとても愛らしい存在だった。

そのせいで男の人に変な目で見られ、嫌な手付きで体を触られた。

それが原因で男の人が苦手になってしまったのだ。

それから私は、空手・柔道・合気道・剣道など、男に言い寄られないように技術を身に付けた。

そして十年――今に至るというわけだ。

「はあ……」

呼吸を整え路地裏から出て、屋敷に向かって歩いて行く。

屋敷の門の前で足を止めると、私の姿を認識した門が、ゆっくりと開いていく。

それを確認した私は、屋敷の敷地内へと足を踏み入れた。

目の前には、屋敷に続く一本道が伸びており、それを囲むように周りには花々が植えられている。

その花々を見つめながら、私は屋敷の扉の目で足を止める。

「お帰りなさいませ、皐月お嬢様」
 
扉に手をかけようとしたところで、先に扉が開けられ、中からメイド長の月子(つきこ)が顔をだした。