【皐月】

遼河は、ちょっと怒っていたみたいだった。

戻ってきた時声をかけようとしたけど、遼河はノートを持って部屋へと戻ってしまった。

「結局誰だったんだろう?」

遼河の嫌いな人だったのかな?

私は、ベッドの中で横になりながら考える。

特訓も途中で終わっちゃったし。

「はぁ…」

私は、目をつぶって寝に入った。

数時間寝たあと、途中で目が覚めてしまった。

緊張しているせいもあった。

「喉乾いた……」

どうしよ、まだ深夜三時だよ。

この後寝れる気がしない。

リビングに向かおうとして、遼河の部屋の前を通り過ぎようとした時、扉の隙間から明かりが見えた。

(あれ?)

まだ起きてるのかな?

扉は少しだけ開いていて、私はその隙間から中の様子をちょっと伺った。

「えっ…」

遼河は、机に向かって勉強していた。

(こんな時間なのに、まだ勉強してるの?)

私は、邪魔しないように静かにリビングに向かった。

「遼河って、頑張り屋さんだよね」

冷蔵庫からオレンジジュースを取り出す。

「そうだっ!」

私は、あることを思いついた。

――――。

私は、遼河の部屋を軽くノックして、部屋へと足早に戻った。

私は、遼河の部屋の横に、ホットコーヒを入れて置いておいた。

(飲んでくれるといいけど)

睡魔が私を襲ってきて、私は再び眠りの中に入った。