あの頃の想いをもう一度

「は、早くない?!」

「大丈夫だろ。さっき俺に倒れ込んできたのは誰だっけ?」

「あ、あれは鞄につまずいて倒れ込んだの!自分からじゃない!!」

恥ずかしくなり頬が熱くなる。

「そうだったの?俺はてっきり、お前がわざと倒れ込んできたのかと思ったよ」

「い、意地悪!このドS野郎!!」

ほんと、意地悪だ!

「冗談に決まってんだろ、でも少しだけ試す価値はある」

「で、でも…」

「ほら、触れてみろ」

遼河は、机の上に手を置く。

私は、遼河の顔を見る。

遼河は、優しい顔で私を見ていた。

そんな表情もするんだと思って、私はゆっくり手を伸ばす。

(大丈夫…、大丈夫)

遼河と居るのは嫌じゃない。

なら、遼河に触れられるはず!

そう信じて、ゆっくり手を伸ばす。

私の指先が遼河の手に触れそうになった時―――。

ピンポーン――。

「えっ?!」

インターホンの音に驚き、思わず手を引っ込めてしまった。

「だ、誰か来た!」

私は、急いでカツラをかぶって眼鏡をかける。

「用意周到だな……」

「だ、だって!」

絶対男だよ!

「チッ…、もう少しだったのに」

遼河は、立ち上がって玄関へと向かう。

私は、こっそり覗いて様子を伺った。