あの頃の想いをもう一度

☆ ☆ ☆

「気持ち悪い……気持ち悪い……」

屋敷近くまで来たところで、路地裏に入りしゃがみ込んだ。

ドキドキと心拍数が上がっている心臓を落ち着かせるように、大きく息を吸う。

「はあ……」

息を整え心臓を落ち着かせながら、ゆっくりと立ち上がる。

「この体質……もう治らないのかな……」
 
男が嫌いな故、触れられると反射的に投げ飛ばしてしまうのは、今に始まったことではない。

これには、昔の大きなトラウマが関わっているのだ。

それはまだ七歳だった頃、従兄弟の父親から変な目で見られたのが、全てもの始まりだ。