夢を見た――。

多分小さい頃の夢だと思う。

大きなお屋敷の庭で、一人で木の下に隠れていた。

それに、何故か私は泣いていた。

「うぅっ…」

私から見ても、自分の泣き顔は可愛いと思った。

「うぅっ…みんな…、どこぉ?」

誰かを待っているようだった。

だけど、私はこの事は覚えていない。

「遼河……“隼人”」

『隼人?』

小さい私は、遼河以外に「隼人」と、そう呟いた。

『隼人って、誰?』

「おーい、皐月!」

遠くで、私を呼ぶ声が聞こえた。

「あっ!」

小さい私は、涙を拭って笑顔になる。

『誰だろう?』

逆光のせいで、二人の顔は見えない。

『誰?』

そこで私は、現実へと戻される。

「おーい皐月!いい加減に起きろ!」

耳元でそう叫ばれ、私は起き上がる。

「あれ…ここは?」

まだ寝ぼけていたのか、私は遼河の顔を見る。

「…あっ!遼河!」

「なんだよ?」

「な、何でもない」

び、びっくりした…。

いきなり目の前に遼河が居るんだもん。