「あれ?遼河の頭が三つ?」

「一つだ!」

遼河は、少しだけ私から距離をとる。

「眼鏡とカツラを取ると、こんな素顔が見れるのか」

「はい?」

な、何言ってんの?

「いや…、なんか」

遼河は、頬を染めて私に手を伸ばす。

そして、私の頬に触れようとした時、手を引っ込める。

「やっぱ……無理だ…」

「えっ?」

今なんて?

遼河は、立ち上がって私に背を向けた。

「じゃぁ、俺行ってくるから、俺が帰るまで外には出るなよ」

「え…、ちょっと遼河?!」

遼河の名前を呼んだけど、遼河は振り返りもせず部屋から出て行った。

「……一体なんなの?」

私は、傍に落ちている眼鏡とカツラを拾う。

「このカツラ、ちゃんと固定して欲しかった…」

私は、部屋の中をぐるっと見回す。

「…寂しいなぁ…」

今まで寂しいとか感じたことなかったのに、ここにいると深くそう感じた。

とりあえず、自分の部屋の中を見るため、ネームが付いている部屋のドアノブを回す。

「か、可愛い…」

部屋の中は、ある程度必要なものは全て揃っていた。

もちろん、部屋の中は私の好きな緑色でほぼ統一されていた。

私は、ベッドにダイブする。

「ふかふかぁ…」

私がいつも使っていたベッドと違って、このベッドはふかふかだった。

これなら直ぐに寝れそう。

そう考えたら、眠たくなってきた。

「ふわぁ…」

軽くアクビをして、私は目を閉じた。