あの頃の想いをもう一度

「ま、いいや別に。ドキドキしていた事は覚えててやるよ」

「覚えてなくていい!!」

こいつ…!

私の反応を見て楽しんでる!

(ドSめ…!)

「じゃぁ、俺行ってくるから」

「はいはい、行ってらっしゃい」

遼河は、鞄を持って立ち上がる。

「あっ!」

遼河の肩に糸くずが付いているのが見えた。

「遼河、糸くず付いてる」

「えっ?」

指を指して教えてあげようとした時――。

「うわぁ!」

「なっ!」

私は、自分の足元に鞄がある事に気付かず。

それにつまずいて、遼河の方に勢いよく倒れ込む。

その時、身につけていた眼鏡とカツラが飛ぶ。

「いったぁ…、くない?」

床に思いっきりぶつかったと思ったのに、痛さは感じなかった。

逆に、何かの上に乗っている感じがした。

「おい…」

「へ…?」

目の前から低い声が聞こえた。

ま、まさか…。

私は、震えながら正面に目を向ける。

「早く、降りてくれないかな?」

そこには、黒いオーラをまとって、怒ってるのか笑ってるのか、分からない表情で遼河が私を見ていた。

「ご、ごめんなさい!!」

てゆか!私男に触ってる!

遼河を投げ飛ばそうと私の腕が少しだけ動く。

だけど……。

(あれっ?)

いつもならとっくに投げ飛ばしているあはずなのに、何故か腕が動かない。

(な、なんで?!)

それが追い討ちをかけるように、私はパニックに陥った。

今日だけで何回パニックに襲われるんだろう。

「おい、大丈夫か?」

「え?何が?」

視界がぐるぐる回って、遼河の顔もぐるぐる回る。