そんな私を見た遼河は、私の前に立つ。

「遼河?」

「早くこっち来い」

ひ、表情が怖かった。

「は、はぃ……」

私は、子羊のようにカタカタ震えた。

遼河は傷ついたんじゃなくて、怒ったんだ。

どうしよう、また怒らせた。

肩を落として遼河の後を付いていく。

お互い向かい同士になるように椅子に座る。

「次の特訓は、男の目を見て話すこと」

「目を見て話す?」

「さっき、俺の目を見ろって言ったのはそういうこと。男になれるには、目を見て話さないといけないからな」

なんか、急にハードルが高くなった気がする。

「な、なるべく心がける」

「じゃぁさっきの続きにもなるけど、今から一分間俺の目を見てて」

「それだけでいいの?」

それなら簡単かもしれない。

さっきだって遼河の目見ていたし。

「そうだ!さっき思ったんだけどさ」

「なに?」

「遼河の瞳って、透き通っているようで綺麗だったよ」

「…!」

遼河は、何に驚いたのか、目を見開いた。

「どうしたの?」

「別に…、早く始めるぞ」

「う、うん!」

褒めたんだけどなぁ…。

私は、遼河の目を見つめる。

(やっぱり、綺麗だなぁ…)

たった一分のはずなのに、その時はとてもながい時を過ごしている感じがした。