あの頃の想いをもう一度

慌てて立ち上がった私は、月子に駆け寄り両手を握った。

「それは本当に?! 本当にお見合いを無かったことにしてくれるのよね?」

「顔が近いです」
 
月子は呆れた顔を浮かべると、私の顔を押し返した。

「約束は守ります。でも……お嬢様が一ヶ月以内に、その体質を治せるとは思えませんが」

月子の言葉にムッとした私は、胸を張って言ってのける。

「私を誰だと思ってるの? 私は、春屋皐月よ? 一ヶ月以内にこの体質、治して見せようじゃない!」

その言葉を聞いた月子は、眼鏡を光らせると、確認を取るように聞いてきた。

「では、ここに【通う】ということで、よろしいですね」

「もちろん……、あっ!」

軽く笑った月子は、手を二回叩くと、何処に隠れていたのか、私の後ろに家のメイドたちがズラーッと並んだ。