あの頃の想いをもう一度

「お嬢様のその体質を、治すためです」

「……この体質を?」

確かにこの体質には、小さい頃からずっと悩んで来ていた。

カウンセリングや心療内科など、お母様に紹介された病院には全て通った。

しかし、それでもこの体質が治ることはなかったのだ。

今回のことがきっかけで、この体質が治るなら喜んで通うところだ。

……だがしかし、いくらなんでも、こんな治療法は間違っていると思う!

「ほら、入りますよ」

月子に強く手を引かれ、私たちは理事長室の中へと足を踏み入れたのだ。

視線を下にさげながら、ソファのあるところまで歩いて行く。

「やあ、こんにちは」

「……うっ!」

前の方から男の声が聞こえ、私は恐る恐る顔を上げた。

やはり理事長は男の人で、優しい笑みを浮かべながら椅子に座っていた。