あの頃の想いをもう一度

『無視はやめてください。悲しくなります』

『今日わたくし体の調子がとてもいいのです』

『今日お外で散歩をしている時、小鳥を見かけました』

『遼河様、メール読んでくれてますか?』

「はぁ…」

俺は、携帯をポケットに戻す。

俺と渚流が許嫁同士になったのは、去年のことだ。

俺は、将来医学の道に進む為に勉強してきていた。

そんな俺に目をつけたのが、天塚家の奴らだった。

渚流は、小さい頃から病弱で、自由に外には出れなかった。

俺と会った頃だって、最初は警戒されていた。

渚流は、執事やメイド、家族以外の人とはあまり話したことがなかったからだ。

最初は、結婚のことなんて聞いていなくて、渚流とは友人になれたらいいと思って会っていた。

それから、渚流は俺を好きになって、許嫁へとなった。

もちろん納得行くはずがなかった。

俺は、皐月が好きだったし、もしかしたら皐月と許嫁だった話しも、戻るかもしれないと思っていたからだ。

だけど、渚流の現状からして、俺はそれを受け入れた。

こんな話、隼人が聞いたら真っ先に俺を殴るだろう。

でも、今更どうこう出来るわけじゃない。

これは、変えられないことなんだ。

だから、俺が皐月の体質を治した時、俺は皐月の前から消える。

隼人の前からもだ。

皐月が望む三人でまた笑い合えることは、もう二度と叶わない。