「だから、昨日の事!」

「お前昨日の事覚えてないのか?」

「は、はっきり覚えてない」

「じゃぁ、俺がした事は?」

遼河は、何かを確認するように私に聞いてきた。

「遼河がした事?」

私に何かしてたっけ?

数秒考えてみるけど、何も思い浮かばない。

「何も覚えてないけど…」

私がそういうと、何故か遼河は脱力した。

「嘘だろ……」

「?」

何をそんなに落ち込んでいるんだろう?

「まさか、あの時から記憶が曖昧になってるのかよ…」

「ねぇ、遼河は私に何をしたの?」

ちょっとそれが気になる。

「何もしてねぇよばーか!」

「なっ!何で馬鹿なんて言われないといけないの?!」

意味わかんない!

「くそっ」

遼河は、軽く舌打ちする。

も、もしかして、また怒らせた?

「ごめん遼河…、また怒らせた」

「何でさっきから謝ってくるんだよ。お前は、何も悪いことしてないだろ?」

遼河は、そう言い私の傍にくる。

「今日は安静にして寝てろよ」

「そ、それは駄目だよ!学校に行かなくちゃ!」

と、歩きだそうとしたけど、体がふらつく。

「おっと」

遼河が咄嗟に支えてくれた。

「そんな体じゃ無理だ。いいから、今日は寝てろ」

「か、風邪なんて…、いつも自分の体調管理くらいは完璧にしてたのに…」

「疲れが貯まってたんだろ?」

遼河に椅子に座らされ、目の前に温かいホットミルクが出される。

「飲めよ、体が温まるぞ」

「うん」

遼河に促され、私はホットミルクを飲む。

「朝食は、そこに置いてあるから。お昼になったら戻ってくるから」

「分かった」

「じゃぁ、行ってくる」

遼河は、鞄を持って部屋から出て行った。

「……」

しんと静まり返る部屋。