あの頃の想いをもう一度

『ホント、小さい手だよな』

この先、皐月に何が起こっても、俺は皐月の味方だ。

俺が皐月を守る。

必ず―――。

俺は、皐月の手を握る。

「お前がおじさんに会うって言ったら、俺はお前の意見に従う。必ず、守るから」

その時、皐月の目がゆっくりと開かれた。

「皐月、起きたのか?」

「遼河……?」

「……」

皐月は、ゆっくりと起き上がる。

「起こして悪かった。そろそろ部屋に戻るか?」

そう聞いた時、皐月は頭を左右にふる。

「遼河の傍に居させて…」

皐月は、俺に体を預ける。

「何処にも……、行かないで…」

「俺は、皐月から離れないよ」

今だけは、皐月の傍を離れない。

でも、ずっと一緒には居られない…。

好きだから、傍には居られない。

「遼河……私…」

すると、皐月はまた寝に入ってしまった。

「起きたり寝たり、どっちかにしろよ」

と、その時俺の携帯が鳴った。

画面には、よく知っているやつからの名前が出ていた。

「もしもし」

俺は、嫌々ながらもその電話に出る。

『ごきげんよう遼河様』

「こんな時間になんだよ渚流(なる)」

『遼河様の声が聞きたくなったので、電話しました』

「たく…」

俺は、皐月から離れてベランダに出る。

「本当は、そんな用事じゃないんだろ?」

『お分かりになりますか?では、単刀直入に言わせて頂きます』

渚流は、嬉しそうにいう。

『実は、わたくしたちの結婚の日が決まりました!』

俺は、携帯を落としそうになる。

「急すぎるだろ!何でいきなり」

『遼河様のある噂を聞きました』

「噂ってなんの?」

『遼河様には、元許嫁がいて、その人との話が戻るかもしれない。という噂です』

そんな噂知らないぞ。

ていうか、渚流には皐月の事は話していない。

『なので、早めに日にちを決めさせて頂きました。結婚は、来月の半ば頃に』

「ま、待て!来月は――」

そこで言いかけ口を止める。

『何か不都合でもありますか?』

俺は、一度考えてからいう。

「いや、何もない…」