あの頃の想いをもう一度

俺の気も知らないで。

自分でも分かっていた。

これは、単なる嫉妬だと。

隼人が皐月にキスをした事に対して、俺は嫉妬していた。

「遼河!待ってよ!」

俺は、部屋の鍵を開け中に入る。

皐月は、それに続いてくる。

「遼河!私の話を聞いて!」

皐月が俺に手を伸ばした時、俺はその手を払い除けてしまった。

「りょう…が?」

皐月は、驚いて目を見開く。

「お前、隼人にキスされたんだろ?」

「えっ…!」

皐月の頬が少しだけ赤らむ。

「な、何で知ってるの?」

「隼人から聞いたんだよ」

俺は、皐月から目を逸らす。

それを見た皐月が、傷ついているとも知らず。

「良かったなキスされて、ずっと話したかった隼人とも話せて、皐月は隼人を取り戻せて、めでたくハッピーエンドかよ」

「そ、そんな言い方!」

「じゃぁ、お前はキスされて嬉しかったのかよ!」

俺の怒声に皐月は身を縮める。

怯えた目で俺を見てくる。

「なら、俺がお前の体質治さなくてもいいか……」

「え……」

皐月は、更に傷ついた表情を見せる。

だけど、俺の口は止まらなかった。

「俺じゃなくて、隼人の方がいいだろ?」

その時、皐月の頬に涙が伝ったのが俺の瞳に映った。

「なんで…、そんな……こと…いうの?」

俺は、直ぐに後悔した。

俺のつまらない嫉妬のせいで、皐月を傷つけたことに。