あの頃の想いをもう一度

「隼人?」

俺達の声に気づいたのか、皐月がこちらの様子を伺っていた。

「げっ!遼河?!」

「何だよ、そのげって!」

「だ、だって!何でここに居るのよ?」

皐月は、俺達の所へと歩いてくる。

「お前を迎えに来たんだよ」

「ここに居ると何故バレた?!」

「嘘が下手なんだよ」

俺は、皐月の腕を掴む。

「んじゃ俺達は帰る。邪魔したな」

「ちょ、遼河?!」

俺は、足早に歩く。

「隼人、また来るから」

「うん、待ってる」

俺は、チラッと隼人の振り返り、エレベーターに皐月を放り込んだ。

「いったぁ!」

皐月は、痛そうに尻のあたりをさすっていた。

「投げることないでしょ!」

「いいだろ別に」

「なんか、遼河怒ってる?」

「怒ってねぇよ!!」

俺は、自分の気持を探られないようにそう言う。

(あいつ、皐月にキスしただと!)

それも二回もだ。

それで、キスをされた本人は、何ら変わらず隼人の近くにいた。

怒るとか、逃げるとか、すればいいのに。

(苛つく…!)

「も、もしかして、遼河に何も言わず隼人の所に行ったことで、怒ってる?」

「だから、怒ってねぇよ!」

俺は、皐月をキリッと睨む。

皐月は、ビクッとなって俺を見上げる。

「お、怒ってるじゃん!」

「ちっ」

エレベーターが俺達の部屋のある階で止まり、俺は皐月を置いて先に出る。

「ちょ、ちょっと待ってよ遼河!」