【皐月】

プールから上がった私達は、服に着替えた。

私は、隼人に無理矢理お風呂場に突っ込まれて、湯船に浸かっていた。

「……」

私は、さっき聞かれたことを考えていた。

『皐月は、今でも遼河のこと好き?』

正直分かんない。

後で隼人に遼河が私の許嫁だったことについて聞こう。

そう思ってお風呂から上がる。

「隼人、着替えたけど?」

「もう出たの?早かったな」

「隼人は、ソファに座っていた」

「早く隼人と話したかったから」

「素直に言うのはいいけど、もう少し自覚して欲しいな」

私は、隼人の隣に座る。

「隼人、さっきの話だけど」

「その前に、一ついいかな?」

「なに?」

「皐月の、従兄弟のおじさんのこと」

私の体に鳥肌が立った。

「お、おじさんが……どうしたの…?」

私の体が震え始める。

そんな私の手を、隼人は握ってくれた。

「ごめん、嫌なこと思い出せるようなこと言って。でも、一つだけ確認したいんだ」

「な、何を?」

「皐月は、いつからおじさんと会っていない?」

「そ、 それは…」

私が男を嫌いになってからだから。

「私が九歳の時から…」

「何ですぐ会わないようにしなかった?」

「…。従兄弟のおじさんだったから、変に接するわけには行かなくて」

「おじさんに、皐月は何をされたんだ?」

私は、唇を噛む。

その事を、隼人に話せる自信がなかった。

でも―――。

話さなくちゃ、先に進めない。