あの頃の想いをもう一度

幸せだと感じた時、それは簡単に壊れた。

僕は、周りの者を恨んだ。

何で僕から幸せを奪うんだ。

何で母さんを奪うんだ。

何で皐月まで奪うんだ。

何でみんな僕を傷つけるんだ。

恨みが貯まりに貯まって生まれた、もう一人の僕。

皐月と遼河と会わなくなってから、僕は家を出た。

そして、母さんのおじさんの家でお世話になった。

僕は、幸せを求めなくなった。

一人の方が楽だと思った。

でも、もう一人の僕が囁くんだ。

『おまえを不幸にする者を殺せ』

『皐月を殺せ』

僕は、そこで目を見開いて、目の前に誰かが居るのに気づいた。

「…だれ?」

視界がハッキリしてきた時、目の前に母さんがいる気がした。

「母さん…」

でも、その母さんは違った。

『お前さえ居なければ!』

母さんの姿は、血まみれで、真っ黒な顔の中に、僕を恨めしく見てくる目が見える。

「く、来るな!」

僕は、とっさにその場から離れる。

「逃げるの…?」

「な、何でお前がここに!」

あれは、夢じゃなかったのか?!

『お前さえ…、居なければ…』

僕の中でその言葉がぐるぐる回る。

『何やってんのさ…』

僕の中で、もう一人の僕の声が響く。

『そんな奴、殺しちゃえよ』

俺の心臓が大きく脈打つ。

『殺しちゃえよ、そうすれば楽になれる』

楽になれる…。