あの頃の想いをもう一度

母さんの葬式は行われなかった。

理由は簡単だ。

親父の愛人だから。

たった、それだけの理由だ。

僕は、悲しかったはずなのに、涙が出なかった。

僕が母さんを殺したからだ。

僕さえ居なければ、母さんは死なずに済んだ。

僕が頑張らなければ良かった。

そして、僕は家を飛び出した。

無我夢中で走った。

そして、雨が降る中僕はうずくまっていて、一人の女の子が僕に声をかけてくれた。

それが、皐月だった。

皐月は、僕に光をくれた。

あの日皐月が僕にくれたカーネーションは、僕の好きな花の一つだ。

皐月の家に遊びに行くようになって、遼河と出会って、僕は母さんのことを忘れることが出来た。

でも…。

皐月が僕達に刃物を向けた時、皐月と母さんが重なって見えた。

あぁ、まただ。

僕は、そう思った。