ぼくがあげた串がキラリときらめいて、彼女の美しさを際立てる。
やっぱりちょっと地味だったかもしれない。
彼の見立ては決して悪くない。
ぼくのあの着物だって、鬼になるのを見計らったように似合ってるのだ。
瞳の色と同じ生地の色。
あれをどうしてもきたくって、ぼくは子供に変幻して着ている。
もしまた出会ったら、こんどは串を選んでほしい。
また、綺麗だ、なんてでまかせを言って欲しいのだ。
「っ、」
涙が溢れてきて、急いで拭う。
あの人、止め方を教えてくれなかったから、いまいち止め方がわからないのだ。
「天稚彦さま、泣いておられるのですか?」
「……ああ、君に会えたのが嬉しくて」
「ふふ、稚彦さまったら」
幸せそうに微笑む彼女。
もし次出会えたら、涙の止め方を教えてもらおう。
未練がましく“次”を夢見て、叶わぬ思いを抱いて一一今日もぼくは、七夕ごっこを繰り広げるのだ。



