さて、今日はそんな七夕の日。
天稚彦に変幻をしたぼくは、天の川を一一中国神話と日本神話の垣根を超えて、彼女に会いに行く。
この日は同情のつもりか、かならず素戔鳴尊が表れる。
「……もー七夕かぁ、早ぇなぁ」
「そうだね」
「お前無理してねぇか?」
「毎年それ聞くよね。もう何百回もやってるんだ、慣れたよ」
そうか、と睫毛を伏せて。
「恋の神、か……お前は叶ってねぇのにな」
「本当、馬鹿みたいだよね。お願いなんて叶えないってゆーのに」
笹の葉に願いを書いたって、叶えない。
ぼくは神様じゃないから。
ぼくはただの、1匹の鬼だ。
思えば彼女もかわいそうな女だ。
いつまでも彼が死んだことを知らないで、偽物が愛を囁いているのだから。



