「さて、お前のことはここまでにして。何が起こったかくらい知りてぇだろ」
(ああそうだね。なんだ、あんたにしては優しいこと言うじゃん)
「ちょっとは同情してんだよ」
ポンポンとわたしの頭を撫でてきたので、むかついて払い除けようとしたが、力がなかった。
されるがままにされるしかない。
「……あいつ、天稚彦に想い人がいたことは知ってんな?相手は中国神話の最高神の娘、とうぜんねーちゃんは反対する」
だから自分を遠征に行かせたのだ、と語っていたっけ。
触れている手から、彼はわたしの体を弄って調子を整えてくれてるのだと気づいた。
彼が触れてからずいぶんと体が楽になった。
「離せば諦めるかと思いきや、ますます想いは強くなる一方。
外交問題に関わるからどうしても諦めさせたかった。けれど、無理だった。
だから、俺に話を持ちかけてきた。
周りに怪しまれず、私が悪者にならないで一一彼を殺せる手段はないか、と」
「まさか…」
思わず肉声でつぶやいたわたしをそっと撫でる。まるで、慰めるかのように。
「その、まさか、だぜ」
愕然とした。
彼は計って母親に殺されたのだ。



