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一一すべてが終わったと悟ったのは、子鬼ではなく彼自身が来た時だった。
痛みに耐えて耐えて耐え抜いたわたしはしばらく気絶し、目覚めても放心状態だった。
荒々しい足音がして、彼が寝そべっている私を見下した。
「よぉ、おつかれさん」
(うるさい、だまれ)
声を出す力もなく、わたしは意思で返事をした。
「まさかほんとに食うとはなぁ……すげぇなオマエ。めっちゃ痛かっただろ」
(全然。大丈夫)
「嘘つけ」
何がおかしいのかけらけらと笑って、私の横にドスンと座った。
(ところで今、わたしどうなってる?)
「あの天稚彦がお前の体に害がないようにしたいってよっぽど強く願ったんだろうなぁ。見た目上は成人女性だ」
(ええ……大きくなっちゃったか)
大きくなると、あの着物が着れないんだよなぁ。
「だけど霊力の性質はすんげぇ変わってるぞ。これ、ほんとにおまえ?」
(わたしはわたしだ。…どう変わってるんだ?)
「んー。まず、霊力はほとんどあいつだ。きっもちわるい天津神の匂いがしやがる。ちかよんなよ」
(……そっか。天津神の…)
「あと、お前見た目は女だけど一一女じゃねーな」
(え?男になったってこと?)
「あいや、んーと。なんだろ、両性具有っつぅの?男でもあり女でもある。よかったな、これから男の変幻もできるぞ!」
(ふうん)
「あとはまあ、神格がすんげぇ上がった。もうほぼ天津神だ」
(じゃあ捕食されないように強くならないとなぁ)
「おう、これからがお前大変だぜ」
(……うん)
でもまあ、頑張れる気がするんだ。
彼が私の中にいるのだから。



