ずいぶん日が高くなってから、天稚彦は起きてきた。
何があったか全く覚えてないらしく、いつも通りおはようと爽やかに話しかけてきた。
あの鳥はとっくに燃やしておいたので、バレなかった。
午後に子鬼が訪ねてきた。
“殺した?”
「うん」
“おつかれー。それだけ確認に来ただけだから”
「……誰の命令なんだ?」
“俺の独断だぜ”
「うそつき。子鬼通じて読むよ?」
“あーもう、わかったよしゃーねーな”
イライラした様子で素戔鳴尊(子鬼)がため息をついた。
“ねーちゃんだよねーちゃん。天照”
「え?」
天照大御神。
彼女が雉を殺せと命じたの?
「だってあの鳴女は上から来たんだろ?てことは上に住んでる……仲間を殺せって言ってきたってこと?」
“おう。そーゆーこと”
「……なんのために?」
“さーな。あのうっさいのが嫌いだったんじゃねぇの?”
そんなことで殺せと?
わたしが殺したっていいはずじゃないか。
なんでわざわざ天稚彦に?
「…おかしくない?」
“さあーて、俺そろそろ仕事にもどろっと。じゃーなー”
「あっ、」
また風に霧散する。
逃げたな、と空を睨んでからため息をついた。
やけに生ぬるい、嫌な風が吹いた。



