いそいそと仕事場に戻る大国主。
軽く読めば、よほど天津神になりたいと見える。
蹴って逃げるのが精一杯だったのか。
そっと部屋を覗けば、ため息をついてる天稚彦と目があった。
鼓動が少し早くなる。
やはりやつれてる顔に、ずきりと胸が痛む。
「里!」
ぱぁっ、と顔を輝かせられ、顔が赤くなった。
「聞いてよ、またダメだったんだ…」
そして、顔を伏せる。
「母上がせっかく用意して下さった条件もダメだった。自分に失望するよ」
「……天稚彦さまが必死になって国を得ようとしてるのはわかってます。私で知ってるのですから、きっと大御神もご存知でしょう。落ち込まないでください」
そう言うとふにゃりと笑う。
「里がいて本当によかった。君には癒されてばかりだな」
頭をなでられ、心臓がまた早くなる。
嫌な音。
やけに耳に響いて、向こうに聞こえてる気がしてやまない。
「……げほっ、けほっ」
ふいに咳き込んで、彼が顔を伏せる。
体がずいぶんと弱くなってしまった彼は、免疫力が下がり、病気がちになった。
霊力を扱うのが下手くそな彼は、身体をいじろうとはするのだがなかなかうまくいかない。



