銀の串をふたつ手に取り、彼は悩む。
真剣に。
「うーん……」
「……」
もう、どれだけその串とにらめっこしているのだろうか。
商人が広げた中で一番高いやつをふたつ、凄まじい顔で見つめ続けている。
「だ、旦那さま?決まりました?」
「だめだ…」
ため息をついて、己の肩を抱いた。
「もし外して喜ばれなかったら辛いんだ…」
はぁ。
「旦那さま、この二つはどちらも一番豪華で華やかでございます。もらって喜ばない女性はおりませんよ」
「そうかなぁ…」
うーん、うーんと、まあよく迷うわ。
「天稚彦さまの奥方様へ、ですか?」
あの、可愛らしい女の人に向けた迷いだろう。
あのひとは奥さんなのかな、と思って出した質問なのだが。
「いや……ただ、ゆくゆくはそう成りたいという相手だ」
「そう…なのですか」
「母上さまが許してくださらなくてな…。相手が問題なのだ」
「え?」
問題?



