それから、わたしは初めて子供のように、人間のようにすごした。
かなり上等な着物だったからか、それとも彼の気品さからか、行く先々でわたし達は丁寧に扱われた。
「ほら!みて!こんなかわいいたべものがあるんだね」
「それは?」
彼が笑顔で差し出したものは、ひよこが串刺しになっていた。
……否、お菓子か。
なにはともあれ。
「か、かわいい…」
つぶらな瞳、手のひらサイズ。
それだけできゅんきゅんする単純な女だ。
「お嬢さん、それは餅菓子ですよ」
「食べれるんだ」
「ええ、甘くてもちもちで、美味しいですよ」
人の良さそうなおじさんが、串に刺さった白い塊を回しながら答えてくれる。



