桜の花びら、舞い降りた


◇◇◇

夕方近く、圭吾さんと揃って遊園地からアトリエに戻ると、俊さんは「亜子は帰るところが違うだろ」と冷たいことを言って私をからかった。
確かに私はそのまま家に帰ればよかったのかもしれないけど、それはちょっとひどい。


「で、その妙な取り合わせのぬいぐるみと花束は?」


私たちが持っていたものを見た俊さんが尋ねる。


「これは遊園地でもらったの。ちょうど五千万人目の来場者に当たっちゃって」

「五千万人目? ……やっぱり行かなくてよかった。そんな歓迎をされたらたまらない」


俊さんは顔をしかめながら首を横に振った。
もともと行く気なんてなかったくせに。

でも、俊さんがぬいぐるみと花束をもらうところを想像すると、それはそれでなかなか笑えるシーンだ。
ひとりでクスクス笑っていると、俊さんは「なんだ」と眉をひそめた。


「ううん、なんでもない」


途中で止まってしまった観覧車は、あれからしばらくして動き出し、私たちはやっと地上へと戻ってこられた。
それからさらにひどくなった雪のせいで、遊園地はガラガラ状態に。