黙っていたのは私のほう。
それを気づけなんて無茶な話だ。
「ほんと平気だから」
そうは言ったものの、観覧車の揺れは収まらない。
やめておけばいいのに、地上から高く離れたところで揺れていることをつい想像して、恐ろしさに体を強張らせる。
自分で自分をおとしめて、どうするというのか。
きっと、すぐに動き出す。
今は、風が強いからちょっと止まっているだけ。
変な想像を追いやり、そう言い聞かせて、なんとか気持ちを落ち着かせようとした。
ところが、大きく息を吸い込んだところで、初めて気づいたことがあった。
それは、この観覧車の狭さだ。
今頃気づくなんて遅いかもしれないけれど、それは圭吾さんの膝と私の膝がぶつかるほどだった。
こんな狭い空間に圭吾さんとふたりきり。
特別な感情がなくたって、意識しないほうがおかしい。
窓の外は真っ白でなにも見えなくて、余計に密室のように感じてしまう。
ゆっくり加速していく私の鼓動。
お願い、落ち着いて……。
高いところにいる恐怖以上に、圭吾さんとの距離感に胸が苦しくなっていく。
ふと、膝にのせていた私の手を、圭吾さんの手がそっと包み込んだ。
驚いて彼の顔を見る。
すると圭吾さんは、無邪気な笑顔を浮かべていた。



