桜の花びら、舞い降りた


「お待たせいたしました。どうぞ」


誘導してくれた係員が、観覧車の扉を手で開ける。
にっこり微笑まれて、私も引きつった笑顔を返した。

閉ざされるドア。
少しずつ少しずつ、地上から離れていく。
観覧車の外は、雪がどんどん激しくなるいっぽうだ。


「ほんと高いな」


圭吾さんは窓にへばりついて下を眺めている。


「亜子ちゃんも見てみなよ」

「ううん、いい」

「さっきから様子が変だよ」

「……そんなことないよ」


どんどん頂上に近づく。
上空は風が強いのか、私たちが乗った観覧車が大きく揺れだした。

――こ、怖い。


「風、ずいぶんと強いな」

「……そうだね」


私は外も見られずに、膝の上にのせた自分の手をただ見つめていた。