すると彼は、遠くを指差して嬉しさに揺れるように微笑んだ。
その指の先を追っていくと、そこにはこの遊園地一番の名物、超高速回転で走り抜けるジェットコースターがあった。
本気で……?
聞くんじゃなかったと後悔が襲い掛かる。
「さっきメリーゴーランドから見えて、面白そうだって思ったんだよね」
そう言うなり、「行こう」と私を置いて、その乗り場へ向かって歩き出してしまった。
「ちょ、ちょっと待って……」
呼び止める間もなく、圭吾さんは足取りも軽く歩く。
あんなに速いスピードで高いところを駆け抜けるものは、決して人間の乗る物じゃない。
そう断言できる。
ところが、圭吾さんは私のそんな気持ちにはまったく気づかない。
たぶん、それどころじゃないんだろう。
「亜子ちゃん! 早くおいで!」
手まねきをして私を呼ぶ。
重い足取りで圭吾さんに追いつくと、彼は嬉しそうにその列の最後尾に並んだ。
ほかの乗り物には列なんかできていないのに、ここはざっと見ただけでも数十人の列ができている。
さすがに一番人気の乗り物だ。



