「それならいいよね」
「よくないよ」
圭吾さんが持っているのかと思うと気が気じゃない。
上手ならまだしも。
「おいおい、亜子。描いた絵をほしいって言ってくれるなんて、ありがたいじゃないか」
俊さんの言葉の中に、“こんな絵を”というキーワードが隠されているように聞こえるのは、私の勝手な思い込みか。
嫌な笑みを浮かべる俊さんを軽く睨んでみたけれど、俊さんは気にする様子もない。
「大切にするから」
いやいやいや。
これを大切にされるのは、一番の最悪パターンだ。
私が望むのは、早いところこの世からないものにすることだけ。
ところが圭吾さんは、素早い動きで私の手からそれを抜き取ると、乾いたかどうか確かめてから丁寧に折りたたんでしまい込んでしまったのだった。



