真っ白い雪の中に咲く、真っ白い花。
地面に向けて花びらを開く、珍しい花だった。
全体的に白い色なのに、のっぺらぼうのようには見えない。
陰影や濃淡で、雪の中から花が浮かび上がって見えた。
この花、知ってる。
直感で思った。
「圭吾さん、絵が上手だね」
「そんなことないよ」
圭吾さんは謙遜して笑った。
技法だとか細かいことはわからない。
でも私よりもずっと上手なことは確かだ。
「なんていう花?」
「スノードロップ」
スノードロップ……。
どこかで聞いたことがあるのか、耳に心地いい響きだった。
「天使が雪に触れて花になったって言われてるよ」
「……なんかロマンティックだね」
香織が聞いたら喜びそうなネタだ。
白い絵の具が塗り重ねられていく絵を眺めていると、圭吾さんがふと私を見た。
「亜子ちゃんも描いてみる?」



