桜の花びら、舞い降りた


◇◇◇

今日も雪は降っていた。


「ただいまー」


アトリエのドアを開けながら、まるで自分の家かのごとく挨拶をする。
それが自然に出てくるほど頻繁に通っていることに、今さらながら気がついた。
圭吾さんがここに居候するようになってからは、毎日かもしれない。

カバンを玄関のそばに置き、コートを脱いで壁のフックに掛ける。


「あれ? 俊さんは?」


その姿は見えない。


「今日も個展の準備じゃないかな」


答えたのは圭吾さんだった。
その圭吾さんは、俊さんがいつも使っているイーゼルの前にいた。
左手にパレット、右手に絵筆を握りながら、こちらを振り返る。


「なにか描いてるの?」

「うん、俊さんの見よう見真似でちょっとね。好きに使っていいって言ってもらったから」


圭吾さんの横から顔を出すようにして覗き込むと、それは花のような絵だった。