人見知りのはずの私が、お母さんも知らない男の人に抱っこされているのに、無邪気に笑っているのだから。
私が本当に人見知りだったのか、疑ってしまいたくなる。
「亜子」
不意にお母さんが私を呼んだ。
なんとなく顔を上げられなくて、写真を見たまま「なに」と返事をする。
「この前はごめんね。お母さん、ちょっと言い過ぎたわ」
謝られるとは思ってもいなくて、正直驚いた。
でも、そんな心の動きは知られたくないから、「別に」とだけ答える。
言い過ぎたのは私だって同じだ。
確証もないのに、お母さんは男の人に会いに行ってると言い放ったのだから。
けど、まだ素直に謝るほど大人になりきれていない。
俊さんの言葉を借りれば、“ガキンチョ”なのだ。
代わりに言えたのは、「やっぱりご飯食べようかな」という言葉だけだった。



