桜の花びら、舞い降りた


「あぁ、それ、亜子の小さいころの写真なの。さっき押入れを整理したら出てきてね。懐かしくて見始めてたの」


なんとはなしに目を向けた私に、お母さんが説明する。
なにか話さなくちゃという意図が伝わってきた。

遠目で見た感じでは、産着にくるまれ、今まさに産まれたばかりという写真だ。


「亜子も見てみない?」

「……ううん、いい」

「そう言わずに。あんまり見たことなかったでしょ?」


パタパタとスリッパの音をさせて私に近づくと、背中を押してダイニングテーブルの椅子に座らせた。
そうまでされて、立ち上がって意固地になるのはカッコ悪い。
俊さんに話したら、きっとまた“反抗期”だとからかわれるだろうから。
渋々という気持ちで従った。

お母さんはアルバムを私のほうへ向けると、ゆっくりとページをめくっていった。

まだ病院のベッドの上か、万歳するような格好で顔の両脇にある両手は、ギュッと握りしめられている。


「かわいい」


思わず感想が漏れた。
自分で自分をかわいいなんて。
言ってしまってから恥ずかしくなる。