◇◇◇
「おかえり」
玄関で靴を脱いでいると、お母さんがリビングのほうから顔を覗かせた。
午後六時。
この時間にお母さんが帰っているのは珍しいことだった。
「ただいま」
無視し続けるのも、さすがに疲れる。
一応はそれだけを言い、お母さんの脇をすり抜けて冷蔵庫へ飲み物を取りに向かう。
「ご飯は?」
背中からお母さんが声を掛けた。
私たちの間には、まだぎこちなさが漂っていた。
「……まだいい」
実のところはお腹が減っていたけれど、お母さんと一緒にご飯を食べる気持ちにはまだならない。
ふとテーブルを見てみれば、ラップをかけられた皿がいくつか並んでいた。
中身まではわからない。
そして、すぐそばにはアルバムが開いた状態で置かれていた。



